第66回日本リウマチ学会総会・学術集会

会長挨拶

第66回日本リウマチ学会総会・学術集会
会 長 田中 栄
東京大学大学院医学系研究科外科学専攻
感覚・運動機能医学講座整形外科学 教授
田中 栄

第66回日本リウマチ学会総会・学術集会は、2022年4月25日から27日の3日間パシフィコ横浜で開催させていただきます。日本リウマチ学会は、その前身である日本リウマチ協会が発足した1957年から数えると、2022年で65年を迎えます。このように長い伝統を有する本学会を担当させていただくことを大変名誉に感じるとともに、身が引きしまる思いです。

さて日本リウマチ学会は、その黎明期より多岐にわたる診療科医師や研究者が参加する領域横断的な学会でした。そして学術集会は、学会員をはじめ、国内外のリウマチ診療に携わる臨床医や研究者の交流や情報交換の場を提供してきました。

2019年末に中国の武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はあっという間に世界を席巻し、いまだに多くの感染者や死者を出し続けています。無症状・未発症者から感染が広がるというこの感染症の特徴は、疾患の危険度の何倍もの恐怖を社会に与え、人と人の繋がりを分断しました。また過去に経験のない新たな感染症の登場は、科学者や医療関係者の間にも戸惑いや不安を広げ、専門家の中にさえも分断を引き起こしました。「分断の疾患」という言葉は、この感染症の本質を過不足なく言い表しています。

感染の拡大を防ぐために、日本リウマチ学会総会・学術集会も2020年は完全ウェブ開催、2021年もハイブリッド形式での開催となり、海外からのスピーカーは全てオンライン講演となりました。現在は通信技術の進歩のおかげで、ウェブ学会でも十分に学術的な情報を得ることが可能です。また学会場が遠方だったり、日常業務が忙しいために参加が困難であった学会員からは、オンライン学会の方がかえって参加しやすいという声もありました。しかし人と人とが直接顔を合わせて情報を交換し、交友を深めることには何物にも代えがたい価値があり、そのような機会が失われているのは実に悲しいことです。2022年の学会がどのような形態になるか、今の時点で確たることは言えません。しかし現地開催であれ、ウェブであれ、リウマチ診療に携わる方々の繋がりをできる限り深める場を提供できればと思います。

第66回大会のテーマは”We Shall Overcome”といたしました。これはアメリカ公民権運動を象徴する有名なプロテストソングのタイトルですが、私自身はこのテーマに政治的なメッセージを込めるつもりはありません。前に進むために、我々はパンデミックを克服しなければいけない。分断を克服しなければいけない。そして疾患を克服するための努力を止めてはいけない。参加者にそのようなメッセージが伝わる学術集会にしたいと考えています。

I do believe we shall overcome someday.

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